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12月08日-02号

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  1. 奈良市議会 1997-12-08
    12月08日-02号


    取得元: 奈良市議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    平成 9年 12月 定例会平成9年奈良市議会12月定例会会議録(第2号)----------------------------------   平成9年12月8日(月曜日)午前10時34分開議---------------------------------- 議事日程  日程第1 報告第30号 平成8年度奈良市歳入歳出決算の認定について  日程第2 議案第86号 平成9年度奈良市一般会計補正予算(第2号)       議案第87号 平成9年度奈良市下水道事業費特別会計補正予算(第2号)       議案第88号 平成9年度奈良市公共用地取得事業特別会計補正予算(第1号)       議案第89号 奈良市情報公開条例の制定について       議案第90号 奈良市税条例の一部改正について       議案第91号 奈良市住宅新築資金等貸付条例の一部改正について       議案第92号 奈良市母子家庭医療費の助成に関する条例等の一部改正について       議案第93号 奈良市総合老人ホーム条例の制定について       議案第94号 奈良市営住宅条例の一部改正について       議案第95号 奈良市改良住宅条例の一部改正について       議案第96号 奈良市営駐車場条例の制定について       議案第97号 財産の取得について       議案第98号 財産の処分について---------------------------------- 本日の会議に付した事件  第1、日程に同じ---------------------------------- 出席議員(39名)              1番  榧木義秀君              2番  池田慎久君              3番  山中賢司君              4番  森田一成君              6番  蔵之上政春君              7番  金野秀一君              8番  大井国崇君              9番  岡田佐代子君             10番  松村和夫君             11番  山口裕司君             12番  中村篤子君             13番  矢追勇夫君             14番  松田末作君             15番  峠 宏明君             16番  上原 雋君             17番  森 純男君             18番  山口 誠君             19番  船越義治君             20番  島崎光治君             21番  松石聖一君             22番  黒川恵三君             23番  田中美智子君             24番  原田栄子君             26番  山本 清君             27番  吉田文彦君             28番  米澤 保君             29番  堀田征男君             31番  北尾好章君             32番  岡本志郎君             33番  大谷 督君             34番  日和佐穣甫君             35番  小林照代君             36番  横田利孝君             37番  中村誠一君             38番  扇田善次君             41番  中村重信君             42番  和田晴夫君             43番  横井健二君             44番  橋本和信君 欠席議員(5名)              5番  竹内成之君             25番  中西義次君             30番  福西 靖君             39番  小嶋高年君             40番  浅川清一君---------------------------------- 説明のため出席した者            市長         大川靖則君            助役            都市計画部長事務取扱 桐木 弘君            助役         山中俊彦君            収入役        岩井健司君            市長公室長      山岡彦一君            企画部長       南田昭典君            総務部長       河村 武君            市民部長       南 哲也君            民生部長       道地義弘君            福祉部長       高橋央生君            環境清美部長     香村侃彦君            経済部長       村田勝彦君            建設部長       澤井利雄君            都市整備部長     吉村隼鷹君            水道局長       辻谷清和君            業務部長       嶋田英隆君            給水部長       木田 享君            浄水部長       木村誠二君            消防長        林 茂樹君            教育委員長      青山 茂君            教育長        河合利一君            教育総務部長     松塚恒彦君            社会教育部長     佃 忠治君            監査委員       吉田 肇君            財政課長       中井正一君---------------------------------- 議会事務局職員出席者            議会事務局長     北尾義次            議会事務局次長            調査課長事務取扱   福田惠一            庶務課長       西村廣彦            議事課長       遠藤忠臣            議事課長補佐     福井 進            調査課長補佐     吉村安弘            議事係長       福井俊史            速記         谷口藤男----------------------------------  午前十時三十四分 開議 ○副議長(吉田文彦君) 議長所用のため、私かわって議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。 休会前に引き続き、会議を開きます。---------------------------------- △日程第一 報告第三十号 平成八年度奈良市歳入歳出決算の認定について 外十三件(質疑並びに一般質問) ○副議長(吉田文彦君) 直ちに日程に入ります。 日程第一、報告第三十号 平成八年度奈良市歳入歳出決算の認定について及び日程第二、議案第八十六号 平成九年度奈良市一般会計補正予算より議案第九十八号までの十三議案、以上十四件を一括して議題といたします。 本件につきましては、既に去る三日の本会議において市長より説明を受けておりますので、これより質疑並びに一般質問を行います。 通告がございますので、発言を許します。 まず、代表質問を行います。 二十六番山本君。  (二十六番 山本 清君 登壇) ◆二十六番(山本清君) 交政会を代表いたしまして、通告をいたしました数点について、市長並びに教育長にお尋ねをさせていただきます。 昨年の九月の十七日、市長は二期目の本会議で、「やさしさとふれあいのあるまちづくり」を行政の理念として、「人にやさしく」「事にやさしく」「物にやさしく」との三本柱をもって市民の皆さんとともに市政の発展に努め、また二十世紀から二十一世紀にかける橋づくりを今から着工していかなければならない、その土台づくりの始まりの年であると考え、市制百周年には単なる祭り事に過ぎることなく、次の百年の大計を立てるべく事の始まりであると述べておられます。その後、社会全体に大きな変革のうねりが生じております。 また、国でも三年前の橋本総理の所信表明演説の中で、二十一世紀を展望しつつ、中央・地方にわたって住宅や生活関連を中心とする社会的資本の充実を図り、生活環境を創造していく、そして所得のみでなく、社会的蓄積や美観など、質の面でも真に先進国として誇れるような活力と潤いに満ちた、ずっしりとした手ごたえのある生活大国づくりを進めて、そして国民一人一人が生活の豊かさを真に実感しながら、多様な人生設計ができるような社会の実現を目指してまいりたいと述べておられますが、昨今の生活大国の根底を揺るがしている銀行、証券会社の倒産、株価の暴落等により、我が国の経済は危機的状況にあるのが現実でございます。 この要因は、不良債権問題を抱える日本経済の弱点を露呈したものと思われます。我が国の経済、そうして生活活性化のためには、金融の安定が不可欠でございます。戦後五十年を過ぎて、国際社会に対応できるよう、国挙げて行財政改革が行われておりますが、政府は平成十年度の予算編成で、財政再建の道筋をつけながら、一般歳出を対九年度比マイナス七%とし、また各主要経費の縮減という方針のもとに編成作業を行うという報道もあるのが事実でございます。また、地方財政計画も、国と同一基準で地方一般歳出及び投資的経費にかかわる単独事業についても対九年度比マイナスとする一方、地方にも歳出抑制につながる施策の見直し、地方単独施策の抑制の方向にあると聞いております。 国内の状況は、財政構造改革法の骨格がまとめられました六月当時と比べて経済環境が厳しさを増しております。景気の先行き不透明が強まっている上に、先ほど申しました大型金融の破綻が相次いでおります。企業業績にも悪影響が出れば、税収の減収とともに国債の依存体質が強まる可能性も否定はできません。 このような国の現状を踏まえ、市の来年度の予算編成についてのお考えについて具体的にどのような内容になっているのか、お伺いをいたします。また、当然、行政経費の執行や投資的事業の進捗のために、財源の確保と経費の節減が表裏一体なものになっていると思いますが、予算編成上、どのように対応していくのか、お伺いをいたします。 次に、二十一世紀を見据えた奈良市の実現のために、平成十二年度を最終年度とする第二期基本計画について、その実施計画が策定されておりますが、厳しい財政状況下、計画事業の実施に向けて財政的な影響についてもお伺いをいたします。 次に、前納報奨金の廃止についてであります。今定例会に提案されました、第九十号 奈良市税条例の一部改正について、個人の市民税及び固定資産税について、第一期の納期に年税額すべてを納付した場合に、一定の計算のもとに納税者に対して交付している前納報奨金を廃止しようというものでありますが、この制度は、昭和二十五年に納税意欲を高めるために創設されたもので、今日まで多くの納税者に利用されてきたところでございます。 最近における平成五年度から九年度の五年間にこの制度を利用された前納者数は、市民税で一・四三倍、固定資産税で一・二六倍と、いずれも増加をしております。増加の原因が、前納報奨金交付基準率が市中の金利より格段高いということもあろうかとは思いますが、前納者数が増加しているということは、ある意味では滞納の防止に役立っているのではないでしょうか。 本市においては、累積滞納額が多額に上り、今年十月一日からは市税徴収対策室を設置し、御努力をされておられるところでございますが、この制度の廃止で、自主納税意欲の後退を招き、滞納につながりはしないかといささか危惧をしておるところでございます。 そこで、今なぜこの制度を廃止されるのか、具体的な理由と税収面に及ぼす影響、廃止後の自主納税のPRについてどのようにされるのか、お聞かせをください。 次に、目前に迫った市制百周年の事業について、三点、市長にお伺いをいたします。奈良市は平成十年に奈良市制の百年を迎え、この記念すべき節目の年に、先人たちが築いてこられた業績に感謝しつつ、今ある文化的な財産をさらに発展させ、次の時代に継承していく機会としていかなければなりません。過去の歴史を振り返ってみますと、今から百年前の明治三十一年の二月の一日、旧奈良町を母体として市制を施行されました。市制施行当時は二十三・四四平方キロであった市域は、隣接町村との合併により、昭和三十二年九月には現在の市域が確保され、約九倍の広がりを見せております。また、人口についても、二万九千九百八十六人でスタートした奈良市ですが、高度成長期の急激な人口の流入時期を過ぎて、現在では、約三十六万五千人の市民が生活する近畿圏の中核都市として順調に発展をしております。また、美しい自然と数多くの文化財に恵まれ、奈良市は、古都としての安らぎがあり、近年の国際化も相まって、年間約一千五百万人もの国内外から観光客を迎え、国際文化観光都市として確たる地位を築き、それに対応するまちづくりも進められてきました。二十一世紀が目前に追っている今、奈良市は恵まれた文化遺産や多様な都市機能を生かし、奈良市の将来像である世界都市・奈良を目指さなければなりません。 また、百周年記念事業は、国際文化観光都市としてこれまでの百年を振り返り、市民がこぞってお祝いをするとともに、次の百年へのステップであるという考え方のもとに実施していく必要があろうかと考えております。そこで、市制百周年記念事業についてお尋ねをいたします。 まず、第一点目は、市制百周年記念日の平成十年二月一日、中央体育館において記念式典を実施されるわけですが、その具体的な内容と現時点の進捗状況について。 また次に、二点目は、パンフレットなどによりますと、記念式典が終わった後、引き続いて、市民公募アイデアイベントも含め、約一年間にわたっていろいろなイベントを実施されるわけですが、これらの全体のイベントについての対応と進捗状況についてお尋ねをいたします。 三点目は、記念事業にかかわり、現状の厳しい財政事情から、できるだけ経費を少なく、効果の高いものに工夫すべきではないかと私は考えますが、どのようにお考えか、お伺いをさせていただきます。 次に、今議会に条例制定に向け、上程されております情報公開制度についてお伺いいたします。このたびの山一証券の自主廃業については、企業の情報公開がなされていなかったからとも言われております。今や情報公開は極めて重要なものになってきております。情報公開の後発組と言われる県下においても、条例制定の兆しが見えてまいりました。条例制定に対しては、情報公開はいかにあるべきかということをしっかり見据えたものでなくてはならないと思いますが、本条例制定に当たっては、基本的な考え方はどのようなものか、お伺いをいたしたいと思います。 また、情報公開条例の内容について、どのようなものか、簡潔にお答えをお願いします。 三点目として、情報公開社会の現在、我々もこれを抜きにした生活は考えられないものでありますが、情報が価値あるものとして認識されて久しいが、このたびの条例は、市民にどのような影響をもたらすのか、また行政改革の一環としてどのような効果を期待できるのか、お伺いをいたします。 四点目として、情報公開条例が施行されますと、その条例を円滑に推進するために、情報を的確に特定できる体制づくりが必要ではなかろうかと考えております。この点についてどのように考えておられるかもお伺いをいたします。 五点目として、市が管理する膨大な情報には、個人のプライバシーにかかわる情報が多く含まれていますが、市民は、これらの情報が自分の知らない間にほかへ流出しているのではないかと不安を抱いているとも思われます。このような立場から、原則開示の立場をとる行政文書の開示制度においても、個人に関する情報は最大限保護されるべきであり、その取り扱いは厳格にしていただきたいと考えますが、プライバシーについてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。 最後になりますが、市民等から開示請求があった場合は、実施機関において不開示項目に該当するのかどうか、個々具体的に検討し、開示、不開示、部分開示等の決定を行うことになろうかと思いますが、この決定について不服がある場合は実施機関に対し不服申し立てを行うことになると思います。この不服申し立てについて、その審査は公平で客観的な判断が求められます。市の諮問機関として情報公開審査会を設置するとされておられますが、不服申し立てについてどのように取り扱いをされるのか、お伺いをさせていただきます。 次に、本市の東部地域の開発と定住圏構想及び社会資本の蓄積についてお尋ねをさせていただきます。東部地域のいろいろな問題点は、機会あるごとに私も要望なり、質問をさせていただいているところであります。本市の東部地域の現状は、人口の減少化、高齢化が進行し、また一部の地域では、産業廃棄物の処分場や採石等の採取場の現場により、土地の荒廃化の現象が見られる等、市内でただ一つ過疎化の進んでおるところでございます。 そこで今、奈良市の市街化区域の中で土地利用がほとんど飽和状態に近い今、奈良市の均衡ある発展を考えれば、ぜひとも取り組まねばならないのが、豊富な空間が多く残る東部地域での秩序のある土地利用ではないかと思います。今までも東部地域に関しては、農林業の振興、農林生産基盤の整備、また就労の場の形成に向けた工業団地の造成や、市街地への交通条件改善のための道路整備、あるいは市民のスポーツ・レクリエーション・文化活動の場を形成し、多くの人々が緑豊かな自然との触れ合いを進める等、御努力をいただいておるところでございます。そして今、東部地域を南北に縦断する名阪国道小倉インターより、京都府加茂町国道一六三号線を結ぶ大和グリーン道路の着工、東部地域の上水道の着工、下水道の着工等もあり、その取り組みに関しては大きな評価をさせていただいておるところでございます。 また、本年十月、奈良県の市街化調整区域における大規模開発に係る審査基準の改正が行われ、本市においても、改正された奈良県の審査基準を基本とした奈良市の市街化調整区域内における大規模開発行為に関する基本方針及びその運用基準を策定されました。そしてまた、東部の集落地域の整備についても同時に調査され、現在、東部ゾーン地域活性化対策基本構想を策定中と聞いております。 しかし、今回の基本方針は奈良市全域を対象としたもので、しかも二十ヘクタール以上の要件を備えた大規模開発だけが可能なものとなっております。東部地域の活性化に直結する具体性を持った内容とは言いがたいのではないかと思います。地元のためになる、地元に対応したきめ細かい土地利用策が必要ではないかと思いますが、先日説明を受けました第二期基本計画の実施計画にも、この観点からの施策はうかがえませんが、東部地域の土地利用について市長はどのように考えておられるのか、基本的な考え方をお聞かせください。 次に、道路網の整備についてであります。このところ都市を中心としたマスコミには、公共工事について建設投資が過剰、不必要な公共投資が多いとの意見や、社会資本の充実が不必要であるかのような論調が多く、一部のメディアでは地方の道路を取り上げ、故意とも思えるような車の走っていない道路の映像、写真とともに、地方に行くと車もめったに通らないのに二車線の立派な道路がつくられている、むだな投資だというようないろんなコメントもされております。 しかし、地方の社会資本の整備はまだまだ不十分でございます。特に東部の道路は量・質ともにまだまだ不足をしております。悲しいことに、峠越え、谷越えで、しかも急カーブ、急勾配、通学路に歩道もない未改良・未整備の道路が数多く存在をしておりますのが現実でございます。そこで、今後の東部地域の交通網の動脈の将来像として、市道及び農道の改良計画についてお考えをお伺いをさせていただきます。 次に、高齢化社会を迎えました福祉の施策についてお尋ねをさせていただきます。国において本年九月、平成九年度全国高齢者名簿がまとめられました。その中で、百歳以上の人たちは約八千四百名、うち男性が千五百名、女性が六千九百名となっております。老人福祉法が制定され、長寿番付が初めてまとめられました昭和三十八年当時、百歳以上はわずか百五十名でした。しかし、昭和五十六年に千人を超え、六十二年には二千人、元年には三千人、同四年には四千人を突破し、その後、六年には五千人、七年には六千人、八年には七千人、九年には八千人台と、毎年急ピッチで高齢化が進んできております。 一方、奈良市においても、本年十一月一日現在の統計によりますと、六十五歳以上の人口は、男性が約二万人、女性が二万九千人、計四万九千人となっております。全人口の占める割合が一三・七%となっており、急速に高齢化が進んできております。特に、私が住まいをしております東部地域においては、二四%となっており、人口の四人に一人が六十五歳以上という超高齢化社会に既に突入をしております。 こうした現状を踏まえ、市長にお尋ねいたします。第一点目は、今後の高齢化社会に向けて対応すべく、平成五年三月に策定されました奈良市老人保健福祉計画について、主要な施策で結構ですので、これらの進捗状況についてお答えをいただきたいと思います。また二点目は、現在・今後における高齢化対策として、どのような施策をされるのか、されようとされているのか、具体的なものがあれば示していただければと思います。 次に、第九十三号で提案されておられますとおり、高齢者の心身の健康の保持及び福祉の増進を図るための総合の施設として、奈良市総合老人ホーム和楽園が設置の運びとなったところでございます。 そこで、この施設のそれぞれの概要、定員、管理運営体制、経費等についてもお聞かせください。また、設置条例第四条には、「施設相互の連絡調整を密にすることにより、総合施設として有機的に運用されなければならない。」とされておりますが、具体的にどのようにお考えかについてお聞かせください。さらに、この施設の完成によりまして、奈良市老人保健福祉計画のうち、特別養護老人ホームの今後の予定はどのようになるのかについてもお聞かせをください。 そして、最後になりました教育長に、教育の基本方針について教育長にお尋ねをさせていただきます。 我が国の近代化の過程で、学校教育が量的に拡大し、普及する一方で、学歴社会の弊害が生じております。その状況を改め、人々が生涯を通じて絶えず自己啓発を続けるとともに、その成果が正当に評価される社会を形成するのが望まれていると思われます。 そのために、私は、まず家庭教育の充実が望まれると思います。家庭は子供にとって人間形成の行われる最初の場であり、心身ともに健やかな子供を育てる上で家庭の果たす役割は非常に大きいと思います。しかし、近年、核家族化、少子化、地域とのかかわり合いの減少、産業構造の変化、生活が物質的に豊かになったこと、就労婦人の増加など、家庭や家庭を取り巻く社会状況の著しい変化の中で、子供の成長、発達に影響を及ぼすいろいろな問題が現状、発生をしております。家庭の教育機能の低下がいろいろ問われておられるところでございますが、そこで、まず家庭教育のあり方、今後の方針について教育長にお尋ねをいたします。 次に、教育長は、生きる力をはぐくむための基本の徹底を推し進めるとともに、一人一人の個性の開花に努めると教育方針で述べておられますが、学校教育における心の教育についてもどのようにお考えになっておられるのか、お聞かせをください。 次に、社会教育施設の充実整備についてであります。今後の社会教育施設の整備充実が期待されているところでありますが、仮称生涯学習センターが平成十年三月に完成と聞き及んでおりますが、社会教育施設の中でどのように位置づけされまして、どのようにされようとお考えなのか、お伺いをいたします。また、ほかの社会教育の施設の整備充実についても、どのように考えておられるのか、お尋ねいたします。 以上で私の第一問を終わらせていただきます。 ○副議長(吉田文彦君) 市長。  (市長 大川靖則君 登壇) ◎市長(大川靖則君) 二十六番山本議員の御質問にお答えをさせていただきます。 まず初めに、来年度の予算編成の考え方でございますが、平成十年度は、市制施行百周年を経て次の百年に向けた出発の年でもあります。このため、第二期基本計画の重点施策を積極的に推進していかなければならないと存じております。その施策の実施に当たりましては、国の財政構造改革により、国庫補助金の削減、景気に影響される市税の大幅な増収は見込めないなど、財政状況は極めて厳しい状況にありますが、奈良市の行政改革大綱による行財政改革への取り組みを一層強化して、財源の確保と経費の節減に努め、予算の編成を行ってまいりたいと存じております。 次に、財源の確保及び経費の節減につきましてでございますが、一つは、市有財産の活用を図るとともに、使用料等につきましても見直しを行い、また滞納税の徴収にも全力を挙げてまいらなければならないと存じております。歳出面における投資的経費につきましては、国の減額基調に準じるとともに、自主財源確保の観点からも抑制を図ってまいらなければならないのでございます。経常経費につきましても、職員の提案によります倹約運動の実施により、さらに節減を強化してまいりたいと存じております。 次に、第二期基本計画におきます事業実施につきましては、相当の財政負担増が見込まれますが、事業全般にわたり、優先度、必要性、継続意義等を精査し、後年度負担も把握しながら、限られた財源の重点的、効率的な配分を行い、将来都市像の実現に当たっての施策を遂行してまいりたいと存じております。 次に、前納報奨金制度の廃止についてでありますが、市の現行の前納報奨金としての金利は、年利換算で六%となっております。低金利の今日、市中金利との格差が大き過ぎるので、現在の金利に応じた報奨金に改めなければならない事態が生じております。しかし、現行の金利を適用すると、わずかな額になりますので、これを納税者の方に御理解いただいて、廃止に踏み切ろうとしているものでございます。 なお、廃止に伴う税収面への影響についてでありますが、他都市では影響がないとのことでもございますし、本制度の廃止につきましては市民だより等で周知を図るとともに、口座振替制度への加入促進にも努めてまいりたいと思っております。 次に、市制百周年記念式典の内容と進捗状況についてでございますが、記念式典は、市制百周年の記念日であります平成十年二月一日、午後一時から中央体育館におきまして開催をさせていただきます。市制百周年を市民こぞってお祝いし、市民と一体となって次の百年に向けて新しい奈良市のまちづくりを目指す場とするため、市民参加の式典と考えております。このため、式典の内容といたしましては、各界の代表者約五千人を御招待申し上げ、元市長、前市長及び姉妹都市の市長の出席をいただき、奈良の歴史を振り返った映像を中心とした式典としてまいりたいと考えております。現在、進行プログラムもほぼ確定し、出演していただく団体と細部にわたって協議を進めているところでございます。 次に、市制百周年記念イベントにつきましてでございますが、既に実施計画などで報告させていただいているところでございますが、市民公募アイデアイベントも含め、手づくりのイベントを主に実施してまいります。イベント実施に際しましては、実施本部体制を組織し、全庁挙げて実施をしてまいります。また、各イベントの内容につきましては、奈良百景展を皮切りに、市民公募アイデアイベントも含めた三十四のイベントを実施させていただきます。特に、四月十七日から二十六日までの十日間、朱雀門、東院庭園の復元を記念して、国、県、市、民間団体と協力してイベントを実施させていただく予定でございます。 次に、現況の厳しい財政状況の中で、最小の経費で最大の効果を上げるよう工夫すべきではとのことでございますが、市制百周年記念事業は、常に申し上げておりますように、単なるイベントではなく、次の百年につなげるものでなければならないと考えております。したがって、市民にとってまたとない出会いのチャンスでもあり、できるだけ多彩な事業に多くの市民の参加を得て、余り経費をかけないで最大の効果を上げる事業にしてまいりたいと考えております。 次に、情報公開条例の基本的な姿勢についてでありますが、懇話会から提言の趣旨を踏まえて、県情報公開条例及び国の情報公開法要綱案との整合性を図ってまいったものでございます。その基本的な考え方としては、市の行政文書は原則として開示をする、個人のプライバシーは最大限保護する、公正で迅速な救済のための審査会制度を確立する、市民の利用しやすい制度とする、の四点でございます。 次に、本条例の内容について申し上げます。情報公開の請求権の根拠は住民自治の理念としております。実施機関については議会を除く全機関とすること、市の出資法人については開示できるよう必要な義務を果たすこと、請求権者は市内在住者、通勤・通学者及び利害関係者とすること、対象情報は施行日以後の情報を義務開示とし、施行日前の情報は任意開示とすること、不開示の不服申し立て機関として情報公開審査会、及び制度の運営改善の諮問機関として情報公開運営審議会を置くことなどでございます。 条例施行に伴う市民生活への影響及び行政改革の一環としての効果についてでございますが、本条例の制定により、市の情報を原則として市民に知っていただくこととなり、より一層市政についての理解と認識が深まるものと考えております。加えて、平成八年十月策定しました行政改革大綱の大きな柱として掲げております行政の透明性の確保が図られ、より一層健全な市政が実現されるものと考えます。 次に、情報公開の推進体制についてですが、庁内における情報公開への体制づくりにつきましては、文書管理の充実や情報の公開の円滑な推進を図るため、各課に責任者を置き、市民の求めに対応してまいりたいと考えております。 次に、プライバシーの問題についてでございますが、個人情報は一度開示されますと、その被害回復は不可能であることから、特定の個人が識別され、または識別され得る情報につきましては、原則不開示と定めております。 次に、不服申し立てについてでありますが、実施機関の不開示等の決定に不服がある場合は、実施機関に対し、不服申し立てができます。実施機関は、不服の内容について奈良市情報公開審査会に諮り、その答申を尊重して不開示等の決定の適否を判断することになります。この審査会は、第三者的立場から解決を図る機関として、本市の情報公開制度のかなめとするものと考えております。 次に、東部地域の開発関係についてでございますが、その一つとして、大和グリーンロードの開設につきましては、県営の事業として平成八年度に国の採択を受け、本年度は、関係地区の協力を得て、計画路線の決定や用地調査の作業中でもございます。延長十三・七キロ、そのうち奈良市域は十キロであり、計画幅員は七・五メートル、総事業費約百五十億円で、平成十八年度の完成予定でもございます。 次に、東部ゾーンの活性化のための一つの方策といたしましては、住宅地開発がございます。調整区域での大規模開発は、二十ヘクタール以上とか、農振・農用地域や保安林等、九項目に該当する区域は認められない等、かなり厳しい制約が課せられており、東部ゾーンでの開発可能地は限られたエリアになってくるのではとの御指摘ですが、私もそういうものだと思っております。それよりも、住民の合意を得て進めることとなる集落地域整備法に基づく集落地区計画--都市計画でありますが、集落農業振興地域整備計画--これは農振計画から、さらに組合施行による田園土地区画整理事業、圃場整備事業等の実施につなげていくこととなり、既存の集落周辺で十数戸単位の新規住宅を実現していくことも重要な方策であると考えられます。 したがって、東部ゾーンの活性化を図るため、現在進めている上・下水道の整備にあわせて集落地域整備法の手法を用いて田園土地区画整理事業を行っていくことも一つの考え方ではなかろうかな、こういうふうに思っているところでございます。 次に、市道及び農道の改良計画についてでございますが、東部地域における市道の整備は、地域の活性化並びに住民の定住を促進する上で、重要な課題として認識をいたしております。平成八年度は二十五路線の整備を行っております。今後も、市道の新設や改良整備については、現状を的確にとらえて、市民の利便と安全を考慮しながら、積極的に進めてまいりたいと考えております。 また、農道の改良計画につきましても、農道は農業の生産基盤の重要なものととらえて、現在進行中の圃場整備事業と一体になってその整備を進めてまいりたいと存じております。 次に、高齢化社会を迎えた福祉施策についてでございますが、その一つとして、老人保健福祉計画の進捗状況についてでございます。平成五年三月に策定いたしました奈良市老人保健福祉計画は、五カ年を経過しようとする本年度末におきまして、建設を進めてまいりました奈良市総合老人ホーム和楽園が完成することもありまして、計画策定時に比べまして施設整備で、特別養護老人ホームが四カ所・二百六十人分から七カ所の四百九十三人分に、ケアハウスがゼロから五カ所・百五十五人分に、デイサービスセンターが四カ所から十二カ所に、在宅介護支援センターが四カ所から十四カ所に、また老人保健施設が一カ所・七十四人分から三カ所・二百五十六人に、訪問看護ステーションが一カ所から十二カ所にと、整備が進んでいる状況でございます。マンパワーの確保といたしましては、ホームヘルパーが、計画策定時に常勤十一人、非常勤五十四人であったのが、現在、常勤三十八人、非常勤三百三十二人となっております。今後も、予定されております介護保険制度実施のための基盤整備を進める上からも、老人保健福祉計画の推進に努めてまいりたいと考えております。 次に、今後の高齢化対策についてですが、高齢化が進んでいく中で、高齢のために介護等の支援が必要になった方のための福祉施策の推進が重要であります。予定をされております介護保険制度がスムーズに実施できるよう、施設整備、マンパワーの確保などの基盤整備を進めてまいりたいと存じております。それとともに、健康な高齢者ができるだけ健康なままで生きがいのある人生を送っていただけるような施策が、ますます重大になってくると考えております。既に進めております、シルバーコーラスを含めた音楽療法を中心とした生きがい対策を、今後も充実させてまいりたいと存じております。 次に、来年四月に開所を予定いたしております奈良市総合老人ホームの概要でございますが、現在、紀寺町にあります社会福祉法人経営の養護老人ホーム和楽園を引き継ぐ形の養護老人ホームの長期入所定数が百五十人、短期入所の定数が二人でございます。すべて個室となっております。新たにつくります特別養護老人ホームの長期入所定数が八十人、短期入所の定数が二十人でございます。個室が二十四室、二人部屋が三十二室、四人部屋が三室でございます。新しい型の軽費老人ホームでありますケアハウスの定数が三十人分で、個室が二十六、二人部屋が二室でございます。その他、在宅の虚弱な高齢者が通所で入浴サービス等を御利用していただくデイサービスセンターと在宅福祉の各種相談等を行う在宅介護支援センターを併設しております。これらの各施設のサービスが、それぞればらばらに行われるのではなく、お互いに連携を図りながら運営される高齢者のための総合施設ということで、施設の総称を奈良市総合老人ホーム和楽園と名づけ、またその旨を条例第四条に明記させていただこうとするものでございます。管理運営につきましては、長年にわたって養護老人ホームを経営してこられた和楽園に、一括して委託すべく提案をさせてもらっているところでございます。 この施設完成後の特別養護老人ホーム整備の今後の予定でございますが、現在、西部地域に三カ所の建設要望が出ておりますので、国の補助認承が受けられるよう努力をしてまいりたいと存じております。 以上でございます。 ○副議長(吉田文彦君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えをいたします。 教育の基本方針について、その中で、まず初めに家庭教育のあり方と今後の方針についてでありますが、家庭は心の安らぎを得て、あすへの生活の活力を生み出す最も基本的な場となってございます。しかし、近年の少子化、核家族化など社会の変化の中で家庭の果たすべき役割が十分機能していないという、そういった指摘される一方、少子化対策やいじめ問題解決のためにも家庭教育の重要性はますます増大しているというふうに考えてございます。これに対応するため、PTAやあるいは婦人団体等で家庭教育学級などの学習機会を家庭に提供し、啓発していく必要があるというふうに思ってございます。今後は、さらに学校と家庭との連携を密にしながら、豊かな心を持ち、たくましく生きる人間の育成に一段と努めてまいりたいと、このように考えてございます。 次に、学校教育における心の教育についてでありますが、子供たちが豊かな心で生きる力を高めるためには心の教育を充実していくことが、最も私は重要な課題だというふうに考えてございます。そのために、奈良市の教育目標にも、心豊かな人間の育成を掲げております。その重点目標を、幼稚園では、進んで活動し、楽しく遊べることとし、小学校では、心の触れ合いを通して、命の大切さや、進んで実践する態度を育てること、中・高等学校でも、勤労のとうとさを理解し、自他ともに敬愛する態度を育てることを道徳教育の指導の重点目標にして、推進を図っているところでございます。 さらに、豊かな心を醸成する施策として、福祉教育推進のために作成いたしました副読本「わたしたちにできること」を、本年は小学校五年、六年生に配付し、困ったときはお互い助け合う心の大切さや、思いやりの心を育てる教育に生かしているところでございます。また、学校、家庭、地域社会における相互の連携を大切にし、より一層保護者や地域社会の人々の参加や協力を得ながら進めてまいりたい、このように思ってございます。 次に、生涯学習センターの位置づけと社会教育施設の整備充実についてでありますが、奈良市の生涯学習の拠点となります仮称生涯学習センターは、平成十年三月末完成、同年十月開館を目指して、現在、建設中でございます。生涯学習センターは、生涯学習に関する情報の提供や、他の社会教育施設との連携を促進するとともに、市民の生涯学習を支援する拠点施設でもございます。そういう位置づけをいたしてございます。 また、社会教育施設の整備充実につきましては、現在分館が設置されておりません小学校におきましては、順次、分館の新設を進めているところでございます。さらに、地区公民館につきましても、大変老朽化や利用者の増加に伴う狭隘化により、大変利用者に不便をかけている施設もあり、これも計画的に整備を進めているところでございます。 以上です。 ○副議長(吉田文彦君) 二十六番山本君。 ◆二十六番(山本清君) 二問目は私の自分の席からさせていただきます。 今、市長から、そして教育長から誠意のある御答弁をいただきました。ありがとうございました。そしてまた、ほとんど要望ですが、一点だけ再質問をさせていただいて、あとは要望にさせていただいておきます。 まず、平成十年度の予算の編成の件でございますが、今、第二期基本計画を実施をしていくためには、今後取り組まなならない行政改革が重要ということを大いに承りまして、いろいろな点でお願いを申し上げます。 我が国は、二十一世紀の到来を目前に控えまして、社会資本の充実、少子化、高齢化の進展、住民の価値観の多様化、環境に対する高まりや、行政・経済構造の改革の波が大きく流れております。このような現状下から、地方公共団体はみずからの責任において社会情勢の変化に弾力的に対応できるような体制を強化していかねばならないと思います。このために、自主財源の確保について最大の努力をお願いをするとともに、事業についてもその必要性を点検をし、勇気を持って見直していただきたい、そうして適切な財政運用に心がけていただくことを要望をいたします。 次に、市長さんの答弁によりますと、本制度の不公平性について、つまり前納金の報奨の件でございますが、その不公平性については--私はもちろん公平でなければならないと思うわけでございますが、市の財政に与える影響及び最近の交付状況について、これのみ再質問にさせていただいておきます。 次に、百周年事業の件でございますが、市が満百歳となる来年の二月一日には、映像を中心とした記念式典を開催されますが、厳粛な中にも何か心の和むような配慮をしていただきたいと思うわけでございます。奈良市民が、全員が参加の立派な式典をしていただきたいと思います。また、そうした式典が終わった後も、一年間にわたりまして多様なイベントを展開されるわけですが、実施に際しては、実施本部を組織し、全庁的な取り組みとして市制百周年記念事業を実施されるわけですが、多くの市民の協力、またイベントの参加を得なければならないと思います。記念事業の成功に向けて、参加者の安全面にも十分に配慮されまして、実施をしていただきたいと思います。 また、我が奈良市は文化発祥の地と言われております。これらのことも十分に配慮されまして、伝統芸能や市民文化に関する、市民がみずから実施するイベント、数多くの文化的なイベントを実施されますが、百周年記念事業として、一つの契機として市民文化のさらなる発展につながるような配慮をしていただきたいと思います。以上の点についても要望をさせていただいておきます。 次に、情報公開制度について何点かお伺いをいたしましたが、基本的な考え方についてお述べになられたところでございます。そこで、市民の利用しやすい制度として、ここで先ほど申し上げましたが、これも第二問をさせていただいておきます。閲覧の手数料及び写しの交付に関する費用はどのようにお考えになっておられるのか、また市民の相談やプライバシーに関する情報を処理する受け付け窓口が必要であろうかと思いますが、どのようにお考えか、よろしくお願いをいたします。 次に、東部の開発と定住圏構想について御答弁をいただきました。東部の現状について御理解をいただいておりますことは、大きな評価をさせていただきます。中ノ川に積水化学工場の進出も決定し、平成十四年から操業と聞いております。東部の玄関口が整備され、上・下水道が完備されますと、良好で自然環境に恵まれた地域の整備が必要でございます。 そこで今、またこの前も御説明を受けたわけなんですが、市街化調整区域における大規模開発行為の取り扱いは、住宅開発の場合、二十ヘクタールでなければ許可の対象とならないということでございます。仮に二十ヘクタールのうち住宅用地及び公益施設の用地の合計面積が六〇%以下であることから、住宅用地を五〇%、一戸当たり敷地面積を二百平米とし、一世帯当たり三人と仮定して試算しますと、約四百五十戸から五百戸、千五百人規模の住宅団地が出現することになります。 そこで、制約があるわけなんですが、そこで開発できない区域は以上のように指定をされておられます。集団的な優良農地、その他長期にわたり農用地として保全すべき土地、そして豊かな森林地域から形成されている土地、水源地の涵養の保全を図る土地、災害防止のための保全すべき土地及び歴史的風土・自然環境を保全すべき土地、その他市長が開発してはいけないと特に認める地域、以上が指定されるわけですが、そうしますと開発できる区域に当てはめてまいりますと、ごく限られたエリアと予想されます。また、仮にこれだけ規模の住宅団地が実現するとしたとき、道路が主要な交通であることから、奈良市街と東部ゾーンを結ぶ道路網を見たときに、勘案してみると、一部のエリアでしか開発はされる可能性はないと思います。 それより、私は、東部ゾーンの各集落が抱えている人口の減少、高齢化、これらが原因となっての農業生産機能の低下等の問題に歯どめをかけ、活性化を図っていける方策--本年度実施されておられます東部ゾーンの集落整備計画の調査の結果を踏まえて、農地と新規の住宅地を適当に配置することにより、良好な営農条件及び居住環境の計画的な整備を図ることができる集落整備法の適用で、私は各地、まあ大体十カ所ぐらいに指定をしていただきまして、そうして五十戸ないし百戸程度の新規住宅をつくる方がよりベターだと思います。 そこで、都祁村の過疎地対策の実例を挙げさせていただきます。都祁村の吐山というところで労住協、つまり労働者住宅生活協同組合が吐山こぶしケ丘団地を平成四年に完成しました。この団地は、全体の面積が約七・六五ヘクタール、全体の戸数が二百二十五戸、一戸当たり平均百九十平米、五十七坪、敷地面積の建て売り分譲住宅で、周囲の農村と調和した新しい住宅団地が実現をしております。御承知のように、都祁村は、奈良県新総合開発計画では大和高原地域に含まれており、都市計画法が適用されない、いわゆる都市計画法の除外地であります。用途地域も指定されておらない過疎化の進んだ地域でございました。ここで、今申し上げたように、過疎地対策として低廉で有効な住宅団地がつくられ、大変好評を博しているところでございます。 私といたしましても、都祁村と奈良市という市域は異なりますが、実態は隣同士でございます。お隣には家が建てられ、活性化が図られているのに、我が奈良市東部側は何も建てられず、そうしてだんだん過疎化の進んでいる地域に思えてなりませんし、事実そうでございます。 そこで、地元の大部分の意見ですが、こうした過疎化、そして集落地の整備によりまして総合的な方策を早期につくっていただきますよう、この件に関しましては要望とさせていただいておきます。 次に、教育長に御答弁をいただきました、特に家庭教育と家庭における心の教育についてでございます。私はこんな話題を最近耳にしました。つまり、お兄さんは超一流大学にお入りになられ、そして一方、弟さんは勉強が大変嫌いで、高校卒業と同時に社会で働き、そうして幸せに結婚、大変親が喜んでおられました。そして、お兄さんは大学にうまく適応できず、今、フリーターという状況でございます。この兄弟、つまり小さいころは、親にとってお兄さんはよい子で、弟は悪い子というような表現をされておられたそうでございますが、今は親の評価が逆転してしまった。つまり、余りにも学業のみの点数にこだわる教育、社会が今問われておるところでございます。 私は思うわけでございますが、子供たちに--勉強ができなかったという表現はどうか知りませんが、子供に合った、自分に合ったことを伸ばせば、言って、育てていただくような教育、そして子供の長所を伸ばす教育、そうした考え方を通じて家庭教育が充実されるよう、指導されることを要望しておきます。 また、心の教育についてでありますが、心とは--私思いますが、全然実態のないものと考えておりますが、私は、基本的には人様に迷惑をかけない、そうして人々に思いやりのある温かい心が伝わっていくことが、私は大切だと考えております。今後の指導方針に御期待を申し上げまして、私の第二問を終わらさせていただきます。 ○副議長(吉田文彦君) 市長。 ◎市長(大川靖則君) 二問目の御質問にお答えをさせていただきます。 税の前納報奨金制度についてでございますが、この制度は、先ほど御指摘ございましたように、昭和二十五年に創設したものでございます。そして、その金利が六・五%ということになってございます。平成九年度で前納報奨金の総額といたしましては三億三千万円ということでございますが、現在の金利の状況からいたしますと、非常に大きな隔てがございます。したがって、これを改めるといたしますと、平成十年度の報奨金としては約一千五百万から一千七百万程度に--平成九年度が三億三千万円であったものが、一千五百万から一千七百万程度になってくると、そういうことで、非常に報奨としての価値が余り見られないんじゃないかなと。そういうことから、市民に、そして事業主に御理解をいただくと、そういう考え方で進めてまいりたいと、かように思っている次第でございます。 次に、情報公開の閲覧の手数料及び写しの交付等についてでございますが、これにつきましては、閲覧の手数料は徴収しないことにいたしております。ただし、郵送や写しの交付に要する費用につきましては、公平の原則の点から実費を負担していただくということに考えております。 次に、総合窓口の設置についてでございますが、市民の相談、受け付け等は一元的に行うことが必要であると思いますので、総合窓口の設置をさせていただくように考えております。 以上でございます。 ○副議長(吉田文彦君) 二十六番山本君。 ◆二十六番(山本清君) 三問は要望にさせていただいておきます。 今、市長が答弁されましたとおり、税の基本は公平が原則でございます。今日の厳しい財政状況下にありまして、市税徴収緊急対策本部の設置及び市税徴収対策室を設置するなど、市税徴収に鋭意努力されておられるところでございます。こうした現状下にありまして、本制度を廃止することによりまして、今約三億円という新たな財源が生まれてくるということは理解をいたします。そして、さらに本制度を廃止することによって、徴収率の低下等、税収の影響にはならないとのことでありましたので、私は本制度の交付率を下げるなど何らかの形で存続をすべきではないかと考えておりましたが、市長の答弁によりますと、いろいろ御答弁の中から、本制度廃止につきましては理解をいたしました。しかしながら、市税を取り巻く現状は依然として厳しい状況にあると、私は認識をしておるわけでございます。 今後の納期における納付を確固たるものにしていくために、先ほどお答えでもございましたが、口座振替制度の推進など、一層の徴収努力をされるよう、要望をしておきます。 そしてまた、情報公開制度も、これは大事なことでございますので、間違いのないように、しっかりいろんな点から、角度から検討をしていただきまして、実施していただくよう要望させていただいておきまして、私の代表質問は終わらせていただきます。 ○副議長(吉田文彦君) 議事の都合により、暫時休憩いたします。  午前十一時五十二分 休憩  午後一時十三分 再開 ○副議長(吉田文彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。---------------------------------- ○副議長(吉田文彦君) 代表質問を続行いたします。 四番森田君。  (四番 森田一成君 登壇) ◆四番(森田一成君) 私は、政友会を代表いたしまして、通告いたしております数点について、市長にお尋ねをいたします。 まず、行政改革と新年度予算編成方針についてでありますが、我が国経済は、山一証券や北海道拓殖銀行などの相次ぐ金融機関の破綻や、完全失業率が過去最高を記録したとの新聞報道に見られますように、これまでに例を見ないほど深刻な状況に直面しております。この背景には、我が国経済が抱える構造的な問題があり、これを解決するための規制緩和を軸とした経済構造改革及び金融システムの安定化が求められています。 また、行政においても、国・地方を合わせた長期債務が、平成九年度末で四百七十六兆円に達し、加えて景気の低迷による税収の伸び悩みなどの影響により、厳しい財政状況に置かれており、国においては、財政構造改革法により、財政健全化に向けての取り組みが始まりました。また、政府の行政改革会議により、中央省庁の再編に向けての動きが活発化しております。 一方、二十一世紀を目前に控え、少子・高齢化などの一層の進展、住民の価値観の多様化などにより、社会情勢は大きく変化している中で、去る十月九日には、権限の移譲を初めとする地方分権推進委員会の第四次勧告がなされ、地方分権の推進がいよいよ実行の段階となり、地方自治は大きな変化を迫られております。このような状況を乗り切っていくためには、こうした社会情勢の変化に対応し得る体制の強化と、活力ある、また個性豊かな自治体運営が求められていると思います。 このような状況を踏まえ、本市においては、行政改革を今後どのように進めていかれるのか、また来年度の予算について、どのような点に留意して編成しようとされているのか、お伺いいたします。 次に、市制百周年についてお尋ねをいたします。自分たちの住んでいるまちは、天平の時代、平城京の都として栄え、長い歴史に培われた美しい自然と数多くの文化財を今に伝えております。来年二月一日には、市制施行百周年を迎えます。この記念すべき百周年を三十六万五千の市民、皆様とともに、心よりお祝いしたいと思います。市では、百周年を記念して、式典を初め、一年間にわたってさまざまな記念事業の実施を計画されているところですが、この記念事業についてお伺いしたいと思います。市制百周年記念事業を次の百年への出発点としてとらえ、一過性のイベントとして開催するのではなく、後世に残るような事業を実施すべきであると考えますが、市長のお考えをお聞かせください。 次に、朱雀門の復元と平城宮跡の活用についてでございますが、質問に先立ちまして、子供たちの通学時の安全、また平城宮跡を訪れる人々の安全確保のため、かねてより要望させていただいてきました西大寺二号踏切の新設について、市当局の御努力によりまして、今月十二日に開通の運びとなりましたことに対し、まずお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。 平城宮跡は、昭和三十四年に発掘が開始され、既に四十年近い日時が経過しております。平城宮跡は、我が国の第一級の埋蔵文化財が存在するということから、地元の方々の理解が得られ、その大部分が、生活の糧を得る基盤であった農地を提供された結果として、現在の平城宮跡としての姿が形づくられたものであることは御承知のとおりであります。 しかしながら、奈良市の中心部に百三十一ヘクタールという広大な土地があるにもかかわらず、観光客にも、地元の住民にも、有効に活用されていないのが実情です。平城宮跡では、今、朱雀門や東院庭園、さらには朱雀大路が復元され、来春四月十七日から二十六日までの間、朱雀門・東院庭園復原記念事業が実施され、一般に公開されることにより、多くの観光客を迎えることと思います。ことしの十月に実施された朱雀門復元工事途中の一般公開では、全国から延べ四万六百十四名の見学者を集め、市内外で大変な関心を集めているところでございます。 しかし、このときの地元周辺は、どのような状況であったか御存じでしょうか。来場者が車で殺到したため、交通渋滞・違法駐車により、周辺一帯は交通麻痺を起こし、周辺住民は日常生活にも支障を来しておりました。朱雀門や東院庭園、朱雀大路の復元に引き続いて、将来的には大極殿の復元計画も進められています。本年六月には世界遺産の候補としても推薦され、歴史的な建造物の復元が進んでいるこの平城宮跡の利用方法について、真剣に考えていかなければなりません。地元の方々に迷惑のかからないためにも、交通アクセスの整備、駐車場・公衆便所など公共施設の整備も含めて考えていく必要があるのではないでしょうか。 市民や観光客、また将来を担う子供たちが、身近に遺構に触れ、歴史を体験し、文化財保存の大切さや、奈良の歴史に対する理解を深めることは、大いに意義あるものであります。平城宮跡は、国の所有地であり、市の意向だけでは自由に活用できるものではないと思いますが、地下遺構を傷つけることなく、市民や観光客の憩いの場として、もっと有効に活用すべきであると考えますが、市長のお考えをお聞かせください。 次に、環境対策についてお尋ねします。まず、環境基本計画及び環境基本条例についてお聞かせください。奈良市においては、春日山原始林を初めとする緑豊かな自然や、世界の財産でもある数多くの文化遺産があり、私たちに多くの恵みをもたらしてきました。これらを次世代に引き継いでいかなければならないと思います。しかし、最近の都市化による自然の減少や利便性を優先した生活様式による環境への負荷は増大しつつあり、今や環境問題は、人の日常生活に起因する水質汚濁・大気汚染などの地域環境から、地球温暖化などの地球環境まで進行しているのが現状であります。 そこで、国においては、平成五年に環境基本法が制定され、そして環境基本計画が策定されました。この環境基本計画は、循環、共生、参加、国際的取り組みを長期的な目標に掲げ、その実現のための施策の大綱などを定められております。これらを踏まえて、奈良市では、今年度より、環境基本条例、環境基本計画を策定中と聞いておりますが、その進捗状況についてお聞かせください。 次に、国際環境都市会議における本市の提言及び宣言についてお聞かせください。京都国際会議場におきまして、十二月一日から十日までの日程で、百六十カ国以上が参加して、気候変動枠組条約、第三回締約国会議が開催されております。ここでは、温暖化ガス削減の目標について、国レベルで討議され、どのような形かは別として、合意が得られることと思われます。この合意が成立しますと、政府レベルでの温暖化効果ガスの排出削減へ対する施策が具体的に打ち出されてくることが容易に推測されるものです。 世界的に見ますと、我が国は四番目に二酸化炭素ガスを多く排出しており、地球温暖化の影響は世界的なものとなってあらわれ、猛暑や暖冬、洪水や干ばつといった異常気象や海面の上昇、マラリアなどの増加による健康への影響、高温による食糧生産への影響など、深刻なものばかりであり、また確実に進行している状況にあります。 地球環境保全を達成していくには、国際的な政策の連携の確保が不可欠であり、国際的連携や協力といったものにつきましては、政府レベルの問題であります。しかし、地球温暖化防止のみならず、地球環境の保全につきましては、今や、国レベルのみの問題ではないと認識しています。地球温暖化防止の行動は、全世界のあらゆる人々の一人一人が、その理解のもとにライフスタイルを環境への負荷の少ないものへと転換していく必要があり、この行動は、地域にある市民百人一人の行動であり、市民に密着した地方自治体の役割も非常に重要であると考えます。 市長は、地球温暖化防止京都会議に先立ちまして、京都市で開催されました国際環境文化都市会議に出席され、報告されたとのことでありますが、その際の奈良市の報告と会議での宣言内容についてお聞かせください。 また、現在、奈良市で進められておりますアイドリング防止対策は、まさに地球温暖化防止対策と言えるのではないかと思われます。その進捗状況についてお尋ねいたします。 次に、今後の河川行政についてお尋ねいたします。私は河川に対する思いとして、私たちが子供のころ、よく川辺に入り、魚あるいは昆虫をとったり、川の中で泳いだり、楽しく遊び、過ごした記憶が脳裏にあります。また、本市の河川は古く万葉集にも歌われ、日本人の心のふるさととして、自然豊かで、安らぎのある川であったと想像しております。しかしながら、現在の河川は、治水上の問題から、コンクリート護岸の整備を施され、川辺に入れず、また水質においても、周辺地域の市街化により、生活排水の流入、工場排水などにより、大変汚れてきたこともあります。 このようなことから、現在の河川行政では、治水事業、下水道の整備事業など、大変御努力されておるところでありますが、水辺、いわゆる河川は、心の安らぎと潤いのある場であると考えるところでありますし、市民のニーズも、治水を含めながら環境を配慮した河川づくりが望まれているものと思います。 そこで、市長の「うるおいのある快適で安全な社会をめざして」の施策として、今後の河川行政に対しての考え方をお尋ねいたします。 以上で私の第一問を終わります。 ○副議長(吉田文彦君) 市長。  (市長 大川靖則君 登壇)
    ◎市長(大川靖則君) 四番森田議員の御質問にお答えをさせていただきます。 まず、行政改革を今後どのように進めていくか、そして新年度の予算における留意点についてでございますが、行政改革につきましては、昨年十月に策定した行政改革大綱に基づいて事務事業の見直しを行い、組織・機構の見直し、定員管理及び給与の適正化の推進、また効果的な行政運営と職員の能力開発の推進、行政の情報化の推進等による行政サービスの向上、そして会館等公共施設の設置及び管理運営の六点にわたり、鋭意取り組んでまいっているところでもございます。 本年四月一日よりの実施内容としましては、市施設の利用許可申請書等の押印廃止、電子公印の導入、公の施設使用料の受益者負担の適正化、一般事務職の定員適正化計画の推進などでございます。 なお、今後は、平成九年十一月十四日付自治省の事務次官通達により、策定済みの行政改革大綱の見直し、行政改革の実施計画の策定、行政改革大綱の推進状況の公表などが指針として示されてまいりましたので、この指針を踏まえて、より積極的に行政改革の推進に努めてまいりたいと存じております。 新年度予算の編成方針につきましては、さきの山本議員にお答えもいたしておりますとおり、特に行財政改革を進める上で、歳入におきましては、市有財産の活用及び使用料・手数料の改正を図るとともに、歳出につきましては、すべての事業・施策に対して一課一改善を実施することにより、行財政改革への取り組みを一層強化し、長年実施をしてきた行事・事業等についても見直すべきものを見直していこうと、そして財源の確保を図りながら予算編成を行ってまいりたいと思っているところでございます。 次に、市制百周年の一過性に終わることのない記念事業の実施についての御質問でございますが、機会あるごとに申し上げておりますように、市制百周年記念事業は、単なるお祝いの祝い事ではなく、次の百年につなげるものでなければならないと考えております。このために、記念イベントにつきましても、市民が主役であるという考え方のもとに、市民のアイデアによる手づくりによったイベントを、できるだけ多くの市民の皆さん方に出演していただく、そういう考え方で計画を進めております。 また、記念事業のーつとして位置づけしております世界遺産登録記念事業は、いにしえより今に守り伝えられてきた市内の貴重な文化財を、古都奈良の文化財として世界遺産登録を目指すものであり、議会の御協力もいただきまして、そのおかげで、本年六月には、東大寺を初め八資産群が推薦されたところでございます。この資産群が世界遺産として登録されることは、日本の国のものとしてだけではなく、世界人類共通の財産として認知されるものであります。このため、今後は、これらの遺産をどのように守っていくか、伝えていくかということを主眼に置きながら施策を講じてまいりたいと存じております。 また、仮称市民ホール完成事業につきましても、長い歴史の中ではぐくまれてきた奈良の文化をさらに発展させ、市民文化の向上を図るため、奈良市の新たな文化拠点としての役割を果たしてまいりたいと存じております。 いずれにいたしましても、財政状況の厳しい折でありますけれども、市制百周年を契機に、間近に迫る二十一世紀への展望を目指して鋭意努力をしてまいりたいと存じております。 次に、朱雀門の復元と平城宮跡の活用についての御質問でございますが、現在復元中の朱雀門は雄大な姿を見せてきております。平城宮跡は、都跡地区を中心とした地元の方々の多大な御協力をいただいた結果、史跡指定をされ、世界遺産登録推薦にも結びついたものであります。奈良市制百周年のこの時期に朱雀門が竣工し、市の新たなシンボルとして後世に継承できますことは大変喜ばしい限りでもございます。 来年四月十七日から、朱雀門・東院庭園のオープンを記念いたしましたイベントを奈良国立文化財研究所・奈良県・奈良市・民間が協力して実施してまいります。記念イベント終了後においても平城宮跡一帯を奈良市の新たな観光の資源として活用していただくだけではなく、埋蔵文化財を壊すことなく、市民が身近に歴史に触れ、体験できる憩いの場やスポーツ施設など有効活用していただけるものと存じております。そのためには、アクセス道路は極めて必要ではございますけれども、大変この改善についても難しい面はございますけれども、関係機関とよく協議をしながら善処してまいりたいと思っております。また、駐車場、公衆便所等の公共施設整備に配慮して、奈良国立文化財研究所、警察等関係機関とも協議をしながら進めてまいりたいと思っております。 来る二〇一〇年の平城遷都千三百年を迎える平城宮跡は、世界の人々が集う日本の歴史・文化国際交流ゾーンとして極めて高い意義を有し、これの実現の推進を図るためにも、平城遷都千三百年を考える奈良の会が組織されております。奈良市といたしましては、この会で対応していく中で、地域のニーズも十分に配慮しながら取り組んでまいりたいと思っております。 次に、環境基本計画及び環境基本条例についてでありますが、奈良にふさわしい環境保全の視野に立った環境施策を推進するため、総合的な計画を進めてまいらなければならないと思っております。平成九年度においては、現況調査、市民アンケート調査を実施し、奈良市環境審議会に、二十一世紀を見通した奈良市の環境行政のあり方について諮問いたしました。現在、御審議をいただいているところでございます。平成十年度には、審議会の答申をいただいて、基本計画を策定し、環境基本条例を制定してまいりたいと考えているところでございます。 次に、国際環境文化都市会議についてでございますが、去る十二月一日より開幕されている地球温暖化防止京都会議に先立って、京都市等が主催する国際環境文化都市会議が十一月二十九日から二日間において開催され、奈良市も出席をさせていただきました。この会議には、十八カ国、そして国内では福岡、神戸、大阪、名古屋、京都、鎌倉、奈良市が集まり、地球温暖化防止における「都市の文化・歴史と気候変動」のテーマで、奈良市はその現況と大気汚染、酸性雨等による東大寺の本堂八角灯篭の修理などの歴史的な文化財に対する影響の状況を報告させていただき、また本市のかけがえのない文化財、自然環境をスライドで御紹介をさせていただきました。そしてまた、今、環境清美工場で実施をいたしておりますフロンガスの対策についても報告をさせていただいたところでございます。 この会議では、各自治体の具体的な取り組みが報告され、その内容は、地球温暖化の深刻さと、その防止行動の必要性及び都市の役割の重要性、次に、都市ごとの特徴に応じた施策の積極的な取り組みの確認、次に、国際的視野に立ったパートナーシップの確立等を全員一致で合意するとともに、京都会議において実効性と法的拘束力のある議定書の採択をアピールすることを宣言したところでございます。 次に、アイドリング防止対策の進捗状況についてでございますが、学識経験者等により、施策検討委員会を設置し、これまで二回の委員会を開催し、本市の状況や、民間も含めました他の取り組みを調査するとともに、本市の特性を十分配慮した施策につきまして審議をしていただいているところでございます。 次に、今後の河川行政の取り組みについてでありますが、建設省においては、治水上の安全性を確保しながら景観も配慮した水辺の創造と親水性--水に親しむことでございますが、親水性を重視した川づくりの考え方であります。このことから、奈良市域の河川においても、これらの趣旨を踏まえ、秋篠川旧河川敷では環境整備事業を推進しており、佐保川では奈良県施行で平成十年度から水辺の楽校事業--楽しむ校でございますが、水辺の楽校事業も予定いたしております。 また、水に親しむ河川づくりでは、河川の水質改善もあわせて必要となりますが、水質汚濁の主な原因は生活排水であり、市民への河川愛護の普及等、地域に根差した排水対策も啓発活動が重要であると考えております。 本年度においては、大和川清流ルネッサンス事業の一環とした清流復活大作戦のイベントを、佐保川、秋篠川で市民多数の参加をいただき、生活排水対策の啓発活動を行ったところであります。 こうしたことから、今後の河川行政においては、自然景観を配慮した川づくりや環境整備、あわせて水質改善についても、市民参加のもと、住民に愛される川づくりに努めてまいりたいと存じております。よろしくお願いいたします。 以上です。 ○副議長(吉田文彦君) 四番森田君。 ◆四番(森田一成君) 第二問目は自席よりさせていただきます。 行政改革と新年度予算編成方針ですが、非常に厳しい財政状況の中で、行政改革に精力的に取り組まれていること、また予算の編成をされていることには理解をいたしました。市民のニーズにより多くこたえていくためにも、今後とも、怠りなく取り組みをされたいと思います。 次に、市制百周年についてですが、ただいま市長からも答弁いただき、また先日配付されましたパンフレットなどを拝見しますと、市民が主役、市民が出演という多彩なイベントが計画されています。市制百周年という一つの出会いの中で、行政と市民が互いに力を合わせ、一体となるという姿勢こそ、これからのまちづくりに相通じるものであると思います。これら成果を本当に一過性に終わらせることなく、その心を心として、二十一世紀の奈良のまちづくりに継続させていただきたいと思います。 また、環境対策についてですが、一口に環境対策と申しましても大変間口が広く、切り口もたくさんにあります。一つの問題が複数課にまたがるといったことができていると思われますが、関係各課の皆様には、スクラムを強く、心を一つにして取り組みされることを望みます。 最後になりましたが、平城宮跡の周辺整備についてであります。ただいま市長の答弁の中で、奈良国立文化財研究所、警察、関係機関とも協議していただけるということでございました。周辺住民に迷惑がかからないようにするためにも、また来場された方に、また来たいと言ってもらうためにも、一層の御努力をお願いしたいと思います。 また、平城宮跡内には近鉄線が走っています。この線路については、平城宮跡が国の特別史跡内であることから、いろいろ議論がありますが、周辺の交通渋滞などを考えるとき、朱雀門の前あたりに朱雀門駅といった駅をつくり、来場者の利便に供するのも一つの方法ではないかと思います。そういった点も含めてぜひとも御検討願いたいと思います。 以上、二問目は要望とさせていただいて、私の代表質問を終わります。 ありがとうございました。 ○副議長(吉田文彦君) 議事の都合により、暫時休憩いたします。  午後一時四十七分 休憩  午後二時二十三分 再開 ○副議長(吉田文彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。---------------------------------- ○副議長(吉田文彦君) 代表質問を続行いたします。 二十三番田中さん。  (二十三番 田中美智子君 登壇) ◆二十三番(田中美智子君) 私は、日本共産党市議団を代表して、まず市長に質問いたします。 最初は、情報公開に対する基本的な考え方についてです。市長は今議会に情報公開条例を提案されました。日本共産党市議団としては、本議会開会前の議会運営委員会で、この条例案については、徹底審議が必要と考え、委員会付託を求めたところですが、我が党以外の会派の賛成が得られず、本会議のみの審議となりました。そこで、代表質問では時間的制約もありますので、情報公開制度についての基本的な考え方について市長の考えをお聞きし、逐条的には、同僚議員が一般質問させていただきます。 まず、懇話会の提言をどう扱われたのかという問題です。その提言をあえて生かさなかった理由はどこにあるのでしょうか。提言の内容は、理事者はもとより、マスコミからも先進的と評価されたものです。市長みずから委嘱した委員によって構成された懇話会が、八回の全体会議、二回の先進地視察、研修会を重ね、二回の起草委員会でまとめ上げた提言です。懇話会に対してどのように説明されるおつもりでしょうか、お聞かせください。 次に、提言にかかわって幾つか質問します。一つは、情報公開制度の理念、日的についてです。提言では、情報公開を制度化するに当たり、憲法に保障されている知る権利を明記し、だれでもが情報の公開を請求することができるようにすべきだとし、条例の目的に、憲法が保障する基本的人権としての知る権利を実効的に保障するため、情報を原則として公開するとしています。 情報公開制度は、住民の知る権利を制度的に保障するものであるという立場から、行政側に行政情報の公開を義務づけるものですから、当然、住民の知る権利の保障を明確に規定しておく必要があります。知る権利を保障する立場に立つかどうかは、情報は主権者である国民のものであり、公開は当たり前だという立場に立つかどうかの重要な問題と考えますが、市長のお考えをお聞かせください。 次に、請求権者の範囲についてです。提言は、何人もとして、範囲を限定していません。自治体の行政情報を知りたい住民は、必ずしもその自治体の住民だけに限られません。したがって、請求権者の範囲は、何人もとするのが当然だと考えますが、いかがでしょうか。 また、対象となる実施機関の範囲について、提言は、市の執行機関に限定することなく、議決機関である議会並びに市が全額出資する外郭団体としています。近年、情報公開制度を活用しての、食糧費、官官接待、空出張などの自治体の不正支出、公共事業の談合、議員の海外視察の実態告発などが行われ、政治不信が広がっています。奈良市はどうなのだろうと市民が知りたいとき、行政の執行機関に限らず、議会や、市が全額出資する外郭団体も対象にするのが当然。 また、対象文書の範囲について、提言では、職員が職務上作成し、取得したものとなっています。このことは資料隠しを食いとめるために必要です。どうお考えでしょうか。 次に、請求があっても開示をしないことができる情報、つまり不開示情報について質問します。提言は、市の保有する情報は原則として公開するという趣旨から、条例施行前の情報もすべて対象にするとしています。つまり、不開示情報は例外ということですから、一定範囲の個人情報など、最小限にとどめるべきです。市の案を見ますと、市と国などとの協力関係または信頼関係が著しく損なわれるもの、合議制機関などの議事運営が著しく損なわれるもの、事務事業にかかわる意思形成に著しく支障を及ぼすものなどが含まれており、これでは、結局、行政にとって都合が悪ければ開示しないことになるのではありませんか。お答えいただきたいと思います。住民は、行政がどのような過程で市民にかかわる政策決定をしたのか知りたがっていますし、主権者として知る権利があります。政策決定の経過も含めて情報公開すべきだと考えますが、いかがでしょうか。 次に、奈良市の市街化調整区域内における大規模開発行為に関する基本方針と環境保全について質問いたします。十一月二十八日の都市基盤特別委員会において、奈良市の市街化調整区域内における大規模開発行為に関する基本方針と運用基準が示されました。今後は、民間の良好な住宅・宅地の供給を誘導するため、市街化調整区域において、二十ヘクタール以上の住居系開発行為について許容していくという方針です。 我が党は、市街化調整区域の多くを占める東部山間地域は、大部分が自然のダムの役割を果たす森林地帯であり、水害を防ぐ役割、市民の命の水や農業を通じて食糧を供給する役割、新鮮な空気と緑によって安らぎを与えてくれる役割、歴史や景観、世界文化遺産などの重要な役割を持っている地域だと認識しております。この地域での開発は基本的に抑制すべきことを指摘してまいりました。 国による環境基本計画は、「人類は、地球環境の大きな恵みに支えられて健康で文化的な生活を送ることができる。しかしながら、近年、この人類存続の基盤である地球環境が損なわれるおそれがあることが世界の共通の認識となっている。」「我が国の環境、そして地球環境を健全な状態に保全して将来の世代に引き継ぐことは、現在の世代の責務である。これは、人類共通の課題でもある。我が国としては、自らの社会を環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会に変えていくとともに、国際的協調の下に、地球環境保全のための取組を積極的に進めていかなければならない。」と環境保全の重要性をうたっています。 ところが、今、京都で開催されている地球温暖化防止京都会議は、温室効果ガスの削減数値目標などをめぐり、交渉が難航する中、余りにも低い温室効果ガスの削減数値目標を押し通そうとしているアメリカや日本政府などに、内外から批判が高まっています。日本政府の態度に本当にがっかりしている、地球の環境や未来について真剣に考えているのかどうか大きな疑問を抱かざるを得ない、日本政府は議長国としての責任をきっちり果たしてもらいたいといった声はマスコミなどでも報じられています。奈良市も真剣に環境保全に取り組む必要があるのではないでしょうか。 今、地球環境を守る上で、CO2削減と森林ネットワークが重要な課題となっています。このたびの基本方針は、それに逆行するものであり、したがって、私たち日本共産党市議団は認めるわけにはいきません。 そこで、幾つか具体的に質問します。今回の基本方針は、市民の願いから出された力針とは考えられません。策定はどのような情勢の変化によってなされたのでしょうか。県の方針との整合性を図るためとありますが、市街化調整区域の果たす役割をどう認識して、奈良市としての独自の調査、検討がなされたのか、お答えください。 また、奈良市域全体の中で占める市街化調整区域の面積と、そのうち、東部地域とそのほかの地域の面積はどのくらいでしょうか。調整区域内で原則として開発区域に含まない地域は、「集団的優良農地その他長期にわたり農用地として保全すべき土地、豊かな森林地域から形成している水資源のかん養の保全を図る土地、災害防止のため保全すべき土地及び歴史的風土・自然環境を保全すべき土地等」としていますが、どのくらいの面積ですか。そのうち、適用除外などの手続により、開発可能になるとすればどんな手続があり、どの区域が対象になるのでしょうか。また、マスタープラン作成とこの基本計画との関係はどうなっているのでしょうか、お答えください。 次に、中小零細商工業者への経営支援について質問します。先日、奈良民主商工会の役員の皆さんが、奈良市の商工行政についての要望をするため、市役所に来られ、担当課と懇談されました。皆さんから、バブル崩壊後、中小業者の営業実態は一層深刻になっており、年内はもう仕事がない、売り上げは四割ダウン、仕事がないので工場の掃除ばっかりしている、来年はもっとひどくなるのではないかと心配している、政府はといえば、中小業者の金融難は解消した、金融改革・日本版ビッグバンを行えばもっと自由な経済活動が保障されるとの宣伝を強めているが、中小業者は今、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券の破綻など、相次ぐ金融機関の倒産をみずからにかかわる問題として大きな関心を持っている、地方銀行は財政強化を最優先課題として、その社会的役割を忘れ、土地の担保力価値が下がったので、現在執行している融資に新たな担保をつけてほしい、実績があっても担保評価が下落しているので貸せないなど、選別融資を強めているなどの実態報告がありました。一方、規制緩和が何をもたらすか明らかなのに、日米交渉でアメリカは、大店法廃止は規制緩和の試金石と、一層の規制緩和を日本に迫っている、こうした厳しい中小業者の諸状況を御理解いただき、行政の一層の支援施策をと要望されました。 具体的には、一、どうすれば奈良市の地域産業--観光や伝統産業、商業、工業などが発展するのか、活気あるまちづくりにするために行政がイニシアチブをとって、地域産業関係者や消費者、専門家などが参加する地域産業振興検討会を設置してほしいこと、二つ、返済期間の延長、利子補給、借りかえ条件の改善など、制度融資の改善をしてほしいこと、三つ、商工課として庁内の発注率の調査を行い、市の発注する官公需は分離発注を検討し、庁内関係会議において、常に関係当局に働きかけ、地元中小業者に対する発注率を高めていただきたいことなどでした。 どれも緊急で切実な要望事項と考えるのでありますが、市長はこれらの要望をどう受けとめ、どう支援の手を差し伸べていこうと考えておられますか、お聞かせいただきたいと思います。 次に、医療保険制度変更の影響と弱者の援助についての問題です。市長は、九月一日からの医療費負担増がどのように市民生活に影響を及ぼしているかつかんでおられますか。もし、つかんでおられなければ、関係の機関や団体を通じて調査するお考えはありませんか。 奈良県保険医協会の皆さんは、患者さん、とりわけ高齢者の実態はどうなのか調べ、よりよい医療制度にするために、十月末に県内の老人クラブの会員約六万人にアンケートはがきを送ったところ、一カ月間に六千通以上ものはがきが返送されたといいます。寄せられたはがきの半数を超える人が、医療費が二倍以上になったと答えています。何らかの形で医療を抑制する--受診回数を減らす、かかる医院を減らす、受診をやめると回答している人は三割を超えています。 また、はがきの約三分の一には、お困り事や意見が記入されていました。私もそれらを読ませていただきました。二、三紹介します。 年金生活のため困っていますが、これからは受診及び薬の使用もできなくなるので困ります、国は、年寄りは早く死ねと言っております。本年四月会社を退職し、現在、年金生活者です、約二年前より糖尿病、インシュリン依存で一生治療を要すると医師に言われています、自己負担率が変わり、大変困っています。 中には、今すぐ手を差し伸べなければという、こんなはがきもありました。年金生活をしている老人ひとりには何かと苦しいことばかり、二カ月に一度の少々の金額で生きるのは難しい時代となりました。金額負担増は苦しい。その上、交通費や食事代さえ払うのがしんどく、昔三度の食を今は一度、あとはお茶で我慢しており、体重は二十キロ減、ここ二、三カ月にて今は三十キロと、骨と皮のみ、元気、体力もなく、ほとんど寝ている毎日です。こんなに苦しんで死ぬのはつらい。何一つぬくもりのない行政となりつつあるようです。貧乏人は死ぬしかない、早く死ねと言わんばかりの政治、行政です。長生きしても得はなかったようです。金持ちだけが得する時代です。悲しいことです。 私は、皆さんがいかに医療費の負担増に困っておられるか、改めて事態の深刻さを認識させられました。また、高齢者が先行き不安を抱え、生きる希望さえ奪われている、このような事態を何とかしなければと思いを強くしています。 そこで、市長に、高齢者を初め、障害者、母子家庭、低所得者など、弱者への医療援助の強化についてお聞きします。市民の皆さんの中には、現にある医療・福祉制度を知らないために活用できないでいる人もいるでしょうから、改めて市民だよりでそうした制度を詳しく知らせるお考えはありませんか。医療費が心配で医者にかかれないと悩んでおられる方の中には、医療扶助制度を御存じない方が多くおられるようです。憲法で言う、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」があることを伝え、すぐ必要な治療を受けていただく必要があります。医療扶助制度についての案内を、病院や診療所の窓口に掲示してもらい、必要に応じて紹介や支援協力をしてもらうよう、医療機関に依頼する考えはありませんか。 また、先進自治体の制度などを取り入れ、市民の援助を強めることとあわせ、市としても医療制度改悪の影響の実態を県や国に報告し、住民の命を守る立場から、政府・与党の進める医療保険のさらなる改悪は絶対に行わないことなどを強く求めていく考えはありませんか、お聞きします。 最近、ある医療機関関係者が、病院に担ぎ込まれた患者さんの家族から、保険証がないから治療代が払えないからと、治療を受けることを辞退されたという厳しい事例を聞きました。奈良市では、九六年度の正規保険証の未交付が千三百四十件、保険料滞納世帯は国保全世帯の二三・七%、一万六百十一件に及んでいます。このような事態から見ても、医療費負担増に伴う市民の暮らしはいかに深刻になっているか、おわかりだと思います。国保制度の問題は、同僚議員が一般質問で取り上げることにしておりますので、だれでも安心してよい医療にかかれるように、国保制度の改善も強く求められていることを指摘して、次の質問に移ります。 次は、介護保険制度にかかわる奈良市での課題についてです。政府・与党などが今週中にも国会で成立させようとしている介護保険法案は、国会審議を通じて、国民の期待にこたえるものになっていないことが明らかになっています。NHKなどの報道機関も多くの課題を指摘しています。 一つは、特別養護老人ホームなど介護サービスの整備についての国の責任が不明確なこと、政府は不十分な現在の整備計画・新ゴールドプランをふやそうとしないこと、二つは、平均一人月二千五百円の保険料を払えないとサービスを制限、利用料も費用の一割負担と重く、多くの高齢者、低所得者がサービスを受けられないことになること、三つに、サービスを受けるのに必要な介護の必要度の認定が適切にされるのか、国民の信頼が得られていないなどです。 現在、奈良市では、特別養護老人ホームの待機者は四百人を超えています。二〇〇〇年までに市の整備目標を達成してもなおホームの数が不足することが、現時点でも明らかです。目標の早期実現と、さらなる計画が必要です。老人保健施設も、待機者が多く、すぐには入れてもらえません。ホームヘルパーの人数も、現在、目標の約半数、しかも常勤はごくわずかで、とても多様な在宅介護サービスを提供できる状態ではありません。先ほども触れたように、国保料を払えない市民もたくさんいます。どうして介護保険料を払えるのでしょうか。行政関係者からも、第二の国保になるのではと、懸念の声が上がっています。 日本共産党は、保険あって介護なしの介護保険法案は廃案にし、指摘されている問題点を改め、抜本的につくり直し、再提出することを政府に求めています。例えば、国の責任で介護給付の基盤整備を行うことを明記し、介護を必要とするすべての人が給付を受けられるように新ゴールドプランを見直す、高齢者、低所得者からは保険料を徴収しない、利用料は無料とするなどです。 市長は、実際、奈良市で介護保険制度を二〇〇〇年からスタートさせようとすれば、どんな課題があるとお考えですか。問題の多い介護保険法案は廃案にして、国民の願いと実態に合ったものにつくり直すべきことを政府に求めるお考えはありませんか。 次は、新たな日米防衛の指針--新ガイドラインについての市長の見解と平和行政について質問します。きょう十二月八日は、五十六年前、日本が太平洋戦争を開始した日です。ことしは、新ガイドライン・安保大改悪反対、沖縄海上基地に反対する十二・八全国一万カ所統一行動が全国各地で繰り広げられています。日本共産党議員団も議会の後、統一行動に参加する予定です。 ことし九月に日米両政府が合意した新ガイドラインは、日本防衛と関係なく、アジア・太平洋地域でのアメリカの戦争に、日本が自動的に参戦していこうとする計画です。また、地理的制限を取り払い、安保条約では極東に限定されていた作戦範囲も、無制限に拡大するものです。日本は、主権国家としての判断もなく、国会にもかからないまま、自動的に参戦させられるのです。また、基地の新規提供を義務づけられるとともに、民間空港・港湾も米軍によって使用されることが明記され、米軍の戦争のために、自治体、民間の動員・参加まで取り決めています。 こうした新ガイドラインの方向や、有事立法、憲法改悪の軍国主義化の道に進むのではなく、こうした流れを食いとめ、国際紛争を武力によって解決することを禁止する世界の流れの中で、国際的にも先駆的な平和原則を持つ憲法を一層輝かせ、軍事同盟も核兵器も基地もない、平和な日本として、アジアと世界に貢献する方向に向かうことこそが奈良市民の願う道であることを確信するものですが、市長の新ガイドラインについての見解と平和への思いを、まず伺いたいと思います。 次に、平和行政について伺います。私は、先月、沖縄で開催された一九九七年日本平和大会に参加し、沖縄の基地調査にも参加してまいりました。今、沖縄は、基地の整理・縮小の方向ではなく、基地のたらい回しと海上への新しい基地の建設問題で揺れています。十二月二十一日には、米海兵隊の海上ヘリポート基地建設の是非を問う沖縄・名護市の市民投票が行われます。 また、一時使用も含む米軍基地の存在する二十六都道県、百二十六市区町村の自治体は、都市計画や暮らし、騒音、汚染、障害、産業、農業、財政などの問題で大きな影響を受けています。基地のない奈良市として、こうしたことに無関心であってはならないと考えます。 先日、沖縄県が主催する「沖縄からのメッセージ」という催しが秋篠音楽堂でありました。案内チラシによると、この催しは、国土面積の約〇・六%の沖縄県に在日米軍専用施設面積の約七五%が集中し、県民の生命、財産を脅かしており、この実情を広く国民に伝え、基地や平和、文化についてともに考える機会とするための企画となっています。 これまでの奈良市の非核・平和行政に加え、基地の問題も考える企画を取り入れてはいかがでしょうか。沖縄県広報課に問い合わせたところ、ビデオやパンフ、写真の提供、講師の派遣も行っているとのことです。そうしたものの普及や活動など、ぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 最後に、奈良市の公共図書館、学校図書館の課題について、教育長に質問いたします。ことし七月十五日に開催された奈良市子ども議会で、北部地域の子供さんから、奈良市は人口に対する図書館数が全国的に見てとても低いレベルにあることを知っていますか、福祉都市宣言をしている市として、お年寄りや子供たちが身近に安心して本に親しまれる環境づくりをしてほしい、そのために図書館を建ててほしい、学校の図書室に専門の先生を配置し、それぞれの図書館とネットワークでつないで、必要な本を借りられるように改善してほしいという質問が出されました。 市長からは、人口に対する図書館のレベルが非常に低いという指摘を受けて、はっとしている、肝に銘じ、一生懸命頑張ってまいりたい、また奈良市の総合計画では、平城ニュータウン地域の中で文化施設や他の公共施設と合わせた図書館をつくることになっている、何とか早い時期を見つけて、図書館の建設にかかってまいりたいという答弁がされています。 私は、十一月の半ばに公立図書館と学校図書館、数館を視察し、関係者の話を聞いてまいりました。率直に言って、子供さんの言うように、奈良市の図書館はとても低いレベルにあるのが実態です。図書館が機能するためには、一般に、資料があって、職員がいて、施設があるという三つの要素が必要とされます。その場合、すぐれた図書館の機能に対する三要素の働きの貢献度は、資料二十、職員七十五、施設五と言われているそうです。職員の貢献度が高いのは、職員は他の要素をほしいままに駆使し、体系づけ、理論化するサービスの頭脳であり、原動力でもあるからだというわけです。 その貢献度も含め、公立図書館について、昨年四月一日時点の資料で、類似都市と奈良市を比較してみますと、施設、蔵書、職員の状況は、施設数が平均で本館二・六館と分館一・六館に対し、奈良市は本館二館、蔵書数は平均五十六万七千に対し、四十九万八千、職員の数--これは嘱託、臨時職員は含まないものですが、平均三十七・六人に対し、十八人、うち司書数は平均二十二・三人に対し、奈良市は三人、現在は二人です。とりわけ司書職員の数は極端に低く、奈良市の職員配置のあり方が問われます。図書館運営にとって、司書の果たす役割は重要です。奈良市では、臨時職員、嘱託の司書さんが不安定な労働条件の中で、図書館運営を支えてくださっているのです。抜本的な改善対策が必要と考えますがいかがでしょうか、お聞かせください。 最後は学校図書館についてです。月刊誌「学校図書館」十一月号は、’97子供の読書と学校図書館の現状の特集を組んでいます。子供の読書では、第四十三回学校読書調査の結果、一カ月に一冊も本を読まない子供がふえ続け、ことし、高校生では約七〇%、中学生では五五%、小学生では一五%と、過去最高になり、子供の読書離れは危機的な状況にあることが報告されています。 一方で、調査は、本が好きと答えた子供が、高校生三八%、中学生三七%、小学生四八%、好きなのに読まない理由のうち、読みたかったが読めなかったが、高校生五六%、中学生五二%、小学生六三%と答えており、多くの子供が実は本が好きで、読みたかったが読めないでいることを示しています。子供の権利条約の、子供の情報を受ける権利が奪われているわけです。子供にとって最も身近な情報獲得の場である学校図書館の充実が重要になっています。 しかし、日本においては、子供の情報へのアクセスを援助する司書の配置が不十分であり、学校図書館を十分に機能させるためには、司書配置の充実が不可欠であると言われています。現在、全国の小・中学校の三割に学校司書が置かれています。奈良市では一人も置かれていません。これまで学校図書館法では、「学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない。」としながら、附則で、「当分の間」置かなくてもいいとされてきましたが、ことし六月、その「当分の間」を、二〇〇三年三月三十一日までの間に改めるというように、学校図書館法が改定されました。 しかし、配置される司書教諭は、図書館専任ではなく、一定の講習を終了した教諭というわけですから、司書専任の具体的な裏づけがありません。しかも、十一学級以下の小規模は除外されています。 先生方に聞きますと、授業・学級担任教諭のうち、司書教諭の有資格者に辞令が発令されるだけで、授業時間の軽減や仕事の継続性の保障はなく、発令された教師の過重負担が心配される、専任の司書教諭を置くこと、学校司書を置くことでこそ道は開けるという意見が、共通の意見です。十一学級以下の小規模はどうするかも課題です。教育長は、学校図書館の充実についての課題をどのようにお考えでしょうか。 また、二〇〇〇年に奈良市で第三十二回学校図書館研究大会が開催されることになっており、市の教育委員会も主催団体に加わっています。私は、この機会にぜひ教育委員会、教育研究機関の代表や、図書館関係者、教員、PTAなどによる学校図書館運営検討委員会のような組織をつくり、もちろん子供たちの意見を反映させて、学校図書館充実について議論を深めることが必要ではないかと考えますが、教育長のお考えはいかがでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。 これで私の第一問を終わります。 ○副議長(吉田文彦君) 市長。  (市長 大川靖則君 登壇) ◎市長(大川靖則君) 二十三番田中議員の御質問にお答えをさせていただきます。 まず、情報公開条例の基本的な考え方について、その一つとして、条例案が懇話会の提言から後退しているのではないかということでございますが、奈良市の懇話会は、いろいろな議論の中から一定の集約を得て、提言されたものであります。したがって、尊重すべきものとして、その方向をとらまえてさせていただいた次第でもございます。しかしながら、国の情報公開法要綱案、あるいは県の条例の施行等があり、それらのものと整合性を図って、今回成案させていただいたものでございます。そんなことで、市の懇話会の提言と比較して、相違する部分はありますが、本条例案は、あくまでも提言の趣旨を踏まえたものであり、より現実的で実態に沿ったものとして策定をいたしたものでございます。 次に、請求権の、知る権利を除いた理由ということでございますが、知る権利は、判例の積み重ねもなく、権利としては実体的に成熟してはおらないことから、本条例の請求権の根拠とはせず、国の情報公開法要綱案に準じて、民主主義の基本である住民自治の理念を根拠としたものであります。 次に、外郭団体等が除かれているということでございますが、外郭団体につきましては、その事業の目的や内容において公共性を有する反面、市の行政機関ではなく独立した法人格を有していることから、実施機関から除いております。しかし、外郭団体につきましては、公益法人の設立許可及び指導監督基準によって、自主的に開示することとの基準が閣議決定されるなどしたところであり、市といたしましても、これを踏まえて、開示に必要な措置を図ってまいりたいと思っております。 次に、請求権者を何人もとしない理由でありますが、本条例の目的を「市政への市民参加と民主的で公正な行政運営の推進を図り、もって市政に対する市民の信頼を確保し、市民生活の向上に寄与すること」としており、対象はあくまでも市民ということで限定をしてまいったところでございます。しかし、市の現実のサービスは、市民だけではなく、通勤・通学者を初め多岐にわたっているところであり、広く利害関係者を含め、請求の範囲としたものであります。 次に、不開示情報に、国等との協力関係情報、合議制機関情報及び意思形成過程情報を含む理由でありますが、国などとの協力関係または信頼関係は、継続的に維持することで円満な運営が確保されるものであります。また、意思形成の過程での情報開示は、事務事業に混乱を招き、執行に支障を来すおそれが生じることから、合議制機関情報及び意思形成過程情報を不開示情報としたところであります。 次に、対象情報について、条例施行以降の情報を対象とし、それ以外のものは任意開示とするのはなぜかということでございますが、情報は開示することによってあらゆる場面に影響を及ぼし、利害を伴うことも少なくありません。そのため、情報を厳格に取り扱うことは当然であり、相当期間経過した文書の中には、趣旨が不明瞭で、開示、不開示の判断が十分できないものも存在すると考えられますので、施行日前の情報については開示の申し立てのあるごとに対応してまいりたいと思っております。 次に、奈良市の市街化調整区域内における大規模開発行為に関する基本方針と環境保全についてでございますが、その一つとして、本市における市街化調整区域内の大規模開発行為基本方針に際しての、国及び県の動向についての御質問です。 本市は、京阪神大都市圏に隣接することから、その後も人口増加が続き、一部地区では無秩序な市街地形成が見受けられるなど、今後も増加の傾向が続くと見通されることから、都市近郊に多く存在する低未利用地の有効利用を図り、無秩序な市街地形成を未然に防止することが重要な課題となっております。 このことから、国の動向は、規制緩和方針に基づき、良好な住宅供給等の開発指導を行っています。また、県においては、平成七年三月の県新総合計画、平成九年三月の第三次県国土利用計画の策定により、県の将来像を目指した土地利用の基本的な考え方が示され、この経緯を踏まえ、本年十月に、奈良県の市街化調整区域内での大規模開発に係る審査基準の改正が行われ、本市を含む大和平野地域で、自然環境との調和やゆとりのある都市環境の形成に留意し、計画的で効率的な市街地整備が行われるものについてのみ認められることになったものであります。 次に、市街化調整区域の考え方や、その役割についての御質問ですが、都市計画法では、「おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」を市街化区域とし、「市街化を抑制すべき区域」を市街化調整区域として定められております。また、市街化調整区域において一定の規模及び要件を満たすものについては、開発行為が可能であります。市街化調整区域は、いずれ開発される可能性はあるが、開発は原則として当分の間待たせておく地域で、計画的な開発であれば許容されるものであります。 現在の本市の全区域の中での市街化区域の面積は四千六百八十ヘクタール、市街化調整区域は一万六千四百八十ヘクタールとなっております。また、大規模開発可能な区域面積は、東部地域では四千四百三十六ヘクタールあり、東部地域以外では二千五百六十一ヘクタールであります。 次に、調整区域内における法令等の規制にかかる区域を含むことは、大規模開発では原則として認めないとしているが、適用除外等の取り扱いについての御質問ですが、大規模開発事業を行おうとする場合において、その開発区域は、農業振興地域の農用地区域、優良農地及び水源特定保護地域等については、原則として開発は認めないこととしています。しかしながら、当該区域等の保存を定める法令等による審議会が設置されている場合は、必要に応じて、その議を得て当該所轄機関等が特にやむを得ないと認められる場合は、その限りでないとして取り扱いしております。 なお、当該審議会等の議を得る必要がないと認められる場合、または、当該法令等に審議会等の定めがなく設置されていない場合については、当該区域の保存、保全を所轄する機関等が計画内容等を勘案し、立地について特にやむを得ないと認める場合についても前記と同様に扱うこととなります。 次に、中小企業資金融資制度について、制度の改善はできないかという御質問でございますが、景気は依然として低迷し、中小企業にとっては厳しい状況と見受けられます。また、金融機関の経営破綻の影響で、民間金融機関の貸し出しも慎重さが見られる中、国、県、市の公的融資制度の重要さが増しております。 奈良市としても、中小企業資金融資制度におきまして、平成七年度に低金利の短期融資制度を創設し、また預託方式により、融資金利を抑え、県信用保証協会に対する保証料も全額市が負担しているところでございます。制度の改善については、今後、関係機関とよく検討してまいりたいと思っております。 次に、健康保険法改正に伴う医療費負担増額のため、困窮する人への医療費の援助についてということでございますが、本年九月の健康保険法の一部改正により、特に高齢者を中心に、医療費の負担増のため十分な診療を受けられない実態があるとの御指摘でございますが、現在のところ、診療報酬明細書が九月分までしか届いておりませんので、一カ月分をもって受診状況に影響があるかないかという判断はでき得ないところでもございます。健康保険法の一部改正は、医療保険制度の安定を図るため、給付と負担の見直し措置が講ぜられたものであります。しかしながら、生活困窮状態の方に対しては、生活保護制度により医療扶助の適用もできますので、御相談を受けてまいります。 生活保護制度の広報については、現在、各出張所や連絡所に「生活保護のしおり」を常置するとともに、地域においては、民生・児童委員の協力を得ながら、周知に努めておりますが、今後は各医療機関、医師会等関係機関とも連携をとりながら、生活保護制度、特に医療扶助の内容についても周知を図ってまいりたいと思っております。 次に、介護保険の課題と解決策についてでございますが、介護保険導入で、解決しなければならない問題は幾つかあります。特に、基盤整備の問題については、ハード面で特別養護老人ホームの整備が急務と考えております。十一月末現在、待機者が四百十五名となっております。これらの解決策として、現在、古市町に定員八十名の特別養護老人ホームを、来年四月に開所すべく建設を進めているところであります。また、奈良市の西部地域において、三カ所の新設の申請もありますので、県に対し強く認可の要望をしてまいりたいと存じております。在宅介護支援センター、デイサービスセンター等の整備についても取り組んでまいります。ソフト面においては、現在、ホームヘルパーが不足しておりますので、登録ホームヘルパーの増員に努めてまいりたいと存じております。 保険料の徴収、サービスを受けるときの自己負担金及び要介護認定等について、いろいろと懸念されておられますが、現在のところ、国より政令、省令等の通達が出ておりませんので、通達が出されたときに検討をしてまいりたいと思っております。 また、介護保険制度の導入について、政府に廃案の求めはする気がないかということでございますが、これは国の方針でございますので、廃案の要求は今のところ私は考えておりません。 次に、日米防衛指針についての見解と平和行政についてでございますが、そのーつとして、新ガイドラインについては、我が国の防衛の根幹にかかわる問題でもございます。また、政治的判断を要する問題でもあります。したがって、一地方自治体でそういうことの回答に触れることは少し問題ではないかと思いますので、差し控えさせていただきたいと思います。 次に、「沖縄からのメッセージ」や、基地があるゆえの痛みを持つ都市と同じ自治体として、市長はこのことについてどう連帯していくかということでございますが、沖縄県からのパンフ等も一応は取り寄せてみたいとも思っております。 また、奈良市では、世界恒久の平和を願い、さまざまな取り組みをしているところでもございます。私は、特に、今回申請を文化庁からしていただいております世界遺産についても、この世界遺産は人類世界共通のものであるということから、これが実現成ることによって、世界平和へ大きく果たす役割があるんじゃないかなと、かように考えているところでもございます。 また、平和への願いという、思いということでございますが、これは私のみでなく、世界人類の願いであるというふうに思っております。 以上でございます。 ○副議長(吉田文彦君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えをいたします。 まず初めに、市立図書館に正規職員の図書館司書が少ないとのことは、御指摘のとおりでございますが、現在、市立図書館には、司書資格を有する正規職員のほかに、司書資格を有する嘱託職員、あるいはまた臨時職員を雇用し、図書館業務を円滑に遂行しているところでございます。 そこで、正規職員の図書館司書が少ないことへの抜本的な対策はどうかと、こういうお尋ねでございますけども、私は一口に申しまして、本の好きな職員が集まるということだと思ってございます。そのためには、本市の場合、職員は一般行政職として採用された後に、図書館に転属なり、そこで図書館司書の資格を習得しているのが実情でございます。また、有資格者でありましても異動の対象になり、他の部署に異動する者も少なくございません。したがいまして、私は、図書館司書を専門職とする、そういった採用をするのも、私は一方法だというふうに考えてございます。 次に、専任の学校図書館での司書教諭の配置について、配置が義務づけられております二〇〇三年に向けてどのような計画を持っているのかと、こういうことでございますけども、学校図書館法の一部が、御指摘のように、平成九年六月に改正されまして、学校図書館の専門職務を行うため、平成十五年四月一日現在、十二クラス以上の学校において司書教諭を置かねばならないというように規定されました。また、この司書教諭と申しますのは、教諭をもって充てるということになってございます。つまり、一般の教諭がこれを兼務するということでございます。 学校図書館司書教諭に必要な単位を習得されております先生方は、現に学校に何人かはおりますが、できるだけ多くの先生が夏季休業中に奈良教育大学--これは講習が文部省から委託を受けている学校でございますけども、奈良教育大学での司書教諭資格を習得していただくよう、各学校に対し指導し、将来的に、私は、十一クラス以下の学校にあっても司書教諭を配置できるように努めてまいりたいと、このように考えてございます。 また、学校図書館活性化のための運営委員会を設置してはどうかという御質問でございますけども、現在、学校図書を担当する教諭でもって、学校図書館協議会というものが設置をされております。私は、とりあえず、この組織を活用して運営に当たってまいりたい、このように考えてございます。 以上です。 ○副議長(吉田文彦君) 二十三番田中さん。 ◆二十三番(田中美智子君) 二問目は自席からさせていただきます。 市長に、これは要望ということにさせていただきまして、殊に情報公開に関することなんですけれども、一般質問の力で、もう少し丁寧に議論させていただきたいと、党としては思っております。 市長も読まれたことだろうと思うんですけれども、マスコミでは、それぞれがこの提言についてかなり批判的です。骨抜き際立つ奈良とか、また知る権利盛り込まれず、感じられぬ思想と義務感、こういったことが書いてございます。私は、これは本当に奈良市の姿勢が問われているなというふうに強く思いますのは、とりわけ知る権利についてです。奈良市の懇話会の会長を務めていただきました繁田實造さん、龍谷大学教授ですけれども、朝日新聞のインタビューに答えまして、「知る権利は、憲法学界では常識。行政の規模や情報の質、量が違うのに国や県との整合性が必要なのか。あのような内容では、条例として長持ちしない。懇話会の提言がほとんど生かされていない。」というふうに言っておられます。市長は趣旨を尊重したとおっしゃってますけれども、懇話会の会長は提言がほとんど生かされていないというふうにおっしゃっていらっしゃいます。 また、情報公開法を求める市民運動の奥津事務局長は「決裁、供覧などの手続きが終わっていないと公開できないというのは致命的な欠陥といえる。」、また情報公開制度に詳しい平松関西学院大学教授は「本来公開の場である議会も市民の信頼を得るために自ら実施機関になって透明化を図るべきだ。」というふうに指摘しておられます。 私は、これまでの答弁を聞かせていただきまして、この奈良市の市政というのは、主人公はだれなのかという点で姿勢を問いたいと思います。市政の主人公は市民でございます。だから、行政は、その市民に対して情報を開示する義務がある、このことをしっかりと押さえていただきたいというふうに思います。そのことがないと、その後開示することを、いろいろ理由をつけて狭くしていくということにつながっていくわけです。 これからの市政というのは、やはり市民参加、そのためには情報の公開は欠かせません。そして、市民の身近なところで、国の干渉を排して行わなければ本当の住民自治の市政ということにはならないのではないかというふうに思います。それぞれのおっしゃってらっしゃることを、しっかり受けとめていただきまして、私たちも市民の権利がより奈良市政の中で生きていくように、これからも頑張ってまいりたいですし、逐条的には一般質問で同僚議員からしていただくことになっております。 次に、これも要望ということになるんですけれども、時間の関係で。東部地域市街化調整区域を含めまして、二十ヘクタール以上の開発が、今度許容されるという方針が出されたわけですけれども、先ほどの御説明にもありましたように、今、市街化区域は全体の奈良市の面積の約二二%です。今後、市街化調整区域の中で建設可能な区域というのは、御説明にありましたように、四二・四六%、今、二二%の市街化区域が、今度の開発可能な区域を入れますと五五%になってしまいます。今の市街化の倍以上になってしまうわけです。しかも、開発可能でない地域についても、いろいろ手続をとれば、またそれも緩和することができるという内容ですから、私たちは、日本共産党はこの奈良の緑を台なしにしてしまう、水源を汚してしまう、また地球環境を守っていくということからも後退してしまうこういう開発については許すわけにはいかないということを重ねて申し上げたいというふうに思います。 それで、六番目の平和行政についてなんですけれども、質問するに当たりまして、このガイドラインの問題を質問すれば、国の政治にかかわることで、なかなか地方自治体として判断するのは難しいというふうにおっしゃるだろうなというふうに思いました。 しかし、きょうは十二月八日でございます。私たちは、この戦争によりまして、アジアの人たち二千万人、日本の人たち三百十万人、この皆さんを犠牲にして、戦後新たな出発をいたしました。憲法の前文には、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないようにする、そのために私たちが主権者としての権利を持っているんだというふうにうたっています。やはり戦争というのは、地方自治体が始めるものでもなく、国民が始めるものでもなく、政府の行為によって始められるものだということですから、やはり、いろいろお立場もあるでしょうけれども、今後はその辺もしっかり押さえながら、より平和のために取り組んでいただきたいというふうに思います。 それから、沖縄との連帯ということですけれども、パンフも取り寄せてみたいというふうにおっしゃっていらっしゃいました。私自身もここに、沖縄県の「沖縄からのメッセージ」というパンフ持っておりますけれども、いろんな沖縄の美しい自然であるとか、その中に基地がどのように置かれているであるとか、歴史はどうであったかとか、人々の思いはどうかというようなことが、丁寧に書かれております。ビデオなども取り寄せて、学校などにも回してあげたらいいのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。 最後に、教育長に一点質問させていただきます。今、図書館協議会ですか、その運営委員会があると、学校図書館のね。それをこれからは生かして、学校図書館について考えていきたいということですけれども、私が先ほど質問させていただいた中に、教育研究者であるとか、PTAの皆さんであるとか、そのほか幾つかの関係する人たちのことを申し上げましたけれども、そういう人たちを入れて、基礎はそこでも、拡大して持っていっていただけるということでしょうか。そこだけちょっと聞かせてください。 ○副議長(吉田文彦君) 教育長。 ◎教育長(河合利一君) お答えいたします。 学校図書館の活性化につきましては、なるほど御指摘のとおり、活性化のための運営委員会というのは必要でございますけども、ただ現在ございます学校図書館協議会というものが機能いたしておりますので、そこで外部の人がそこへ参画を願ってうまく機能するかどうかいう点につきましても、これはよく検討課題として、また学校運営協議会の方に一応提言をしたいなと、このように思ってございます。 ○副議長(吉田文彦君) 二十三番田中さん。 ◆二十三番(田中美智子君) 私も、幾つかの学校図書館、見てまいりましたし、先生たちとか専門家の方のお話も聞いてきたんですけれども、学校図書館の歴史とか実態であるとか、今の活用のあり方とかいうのは、それぞれの歴史があって、なかなか一様にはいかないということはわかってるんですけれどもね、これは、学校図書館を充実させていくのにはどうあったらいいだろうかという合意といいますかね、高め合っていくということが、どうしても必要なんだということがこの間わかりましたので、現場の先生たちも、学校図書担当の先生だけでなく、現場のそれぞれの先生たちの御意見なんかも大変必要なことだろうと思いますし、PTAとか子供さんたちの意見も入れながら、また専門家の意見というのは、またこれどうしても必要じゃないかと思うんです。そういうこともぜひ考えていただきまして、今、議会の中でも、学校図書館について皆さん充実していきたいなというふうに思っていらっしゃる、そういう方向でございます。ぜひそういった方向に進むように要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 ○副議長(吉田文彦君) お諮りいたします。 本日の会議はこの程度で打ち切り、明九日午前十時より本会議を再開して質疑並びに一般質問を行いたいと思いますが、そのようにいたしまして御異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(吉田文彦君) 異議なしと認めます。 よって、そのように決定いたします。 本日は、これで散会いたします。  午後三時三十六分 散会---------------------------------- 地方自治法第123条第2項の規定によりここに署名する。     奈良市議会議長   浅川清一     奈良市議会副議長  吉田文彦     奈良市議会議員   矢追勇夫     奈良市議会議員   米澤 保     奈良市議会議員   橋本和信...